木こり日誌

新城キッコリーズ Day42 丸太を積んでホルツへ、mapryの使い方とこれからの林業

新城キッコリーズ Day42 丸太を積んでホルツへ、mapryの使い方とこれからの林業

5月30日(火)雨のち曇り

今週はなんだかドタバタの一週間だったような気がする(だけ?)今これを打っているは6月3日、昨日今日とこれまた色々とあったけれどまずは今週を振り返っていくとする。

いきなり火曜日から振り返るのは昨日まで鎌倉にいたからだ。日曜日に東京でSAEKOさんと久しぶりのワークショップがあった。終わるのが遅いことを見越して月曜日はお休みをもらっていた。案の定、妻の借りているアパートに戻ることには0時をまわっていた。それについても書きたいことがあったような気がしたけれどまた何かの機会に残しておくとして30日に戻った気分になって、とにかくそこからスタートだ。

午前中は丸太の積み込みをしてホルツへ持っていき、戻ってきたら早めの昼食をとる。

午後はmapryという会社の開発した林業に特化したアプリの講習会がありキッコリーズメンバーでそれに参加してきた。

最新のアイフォンに搭載されているLiDAR(Light Detection and Ranging - 光検出と測距)というレーザー光の反射を利用して、ものや地形の「距離」を読み取る機能を使って測量したり、木の形状を読み取ったりして作業を効率化していくことができる。

今まで人間の目や感覚に頼っていたものをデータ化していくことができる。とても便利な技術なのだと思う。実際にiPhoneを片手に画面に映し出される現実世界の杭がある場所をタップして仮想空間にも杭を打っていくという作業をしていく、測量を終えてみると今までの1/3ほどの時間で終わるということが示された。距離や方向などの誤差もほとんどなくて実際に使えるレベルのもので各県の事業などでもmapryを使ったデータの使用も認められてきているようだ。

とても便利なものを使う時に考えておきたいことがある。人間が今まで時間をかけてやってきたことの中にはデータ化できないものも含まれている。木は生き物であるし、山だってデータで表せるただの凹凸があるだけじゃない。どんなものが積み重なっているのか、それは土なのか木が朽ちたものなのか、岩なのか、ぬかるんでいるのか、人間の目はそういうものまで感じ取る。

木も太さや高さだけで表されるものじゃないと思う。木肌からその木が元気なのか、枝の張り具合はどんななのか、その木の下の植生はどんな感じになっているのか、データにできないものも山を森を育てていくには重要なものになっていく。機械は定量的なものしか扱えない、数値化しないと理解できない。機械は数値化できないもの定性的なものを扱うのは苦手だ。だから抜け落ちてしまうものがあるということを肝に命じて便利さも享受していかなければいけないのだと思う。

市場に出されたものは太さや、量で測られる。もちろん年輪がキレイだということ、虫に食われていないか、ということも判断の基準にもなる。実際、今月はこのくらい売れましたという書類には、杉、ヒノキの〇〇cmが何本、何立米、合計〇〇円と出てくる。市場ではそういう基準の方がわかりやすいからだ。

それでも、ほんとに木にこだわっていくなら、どこどこの山で誰々が育てた、育ててきたあの木がいいよね。あそこの木には独特の模様が出てきて、それが好きなんだ。なんて人も出てくるかも知れない。そこには数値に表せないものがある。均一に安定的に作り出せるようになった世の中も素晴らしいし、それはどこに行っても同じようなものを受け取れるという意味でも安心感も与えてくれる。

日本列島、世界を見回しても自然環境がまったく同じというところがない、だとしたらその地域の条件が作り出せるものもそれぞれに違ってくる。どこでも同じものを作るということには無理が生じてくる。余計なエネルギーをかけることでしかそれは実現できない。日本の山もそれぞれに色んな地形があって、一様に機械の大型化で乗り切るなんてことはできないと思う。林業も農業も人手不足だ。みんなどこへ行ってしまったのだろう?自分たちの生活の上流にある山を大切にすることは最終的には自分たちの命を大切にすることと同じ意味を持つようにも思う。山が健康でなければ良い水も育まれないだろうし、荒れた山は下流に暮らす僕らに土砂崩れや川の増水などで時とし牙を剥く。自然はそんなこと考えてないとは思うのだけれど、水は流れるままに流れているし、雨は落ちてくるままに落ちてくる。風も吹いているだけだ。人間にとっては脅威だけれど、それを無理に抑え込もうとした結果が今起こっている「自然の牙」と呼ばれるものだろう。何も自然は牙を剥きたくてそうしてるわけじゃない。

便利さ求めると共に失われるかもしれないものを意識することはとても大事なことだと思った。

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Kazuki

サルサLOVER→農業研修生→木こり見習い
赤石家のカズ
2022年3月から農業の研修を開始!
2023年4月木こり見習いになる。
福津農園での農業研修を終え次なる目的地へと旅立つ
実践の記録と日々感じたことや何かを綴る日誌。

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