こうしてようやくペンを持って...という冗談はさておき、ようやく日誌を更新できる。去年は毎日続けてきた日誌の更新作業、今までなにかの本で読んだりはしていたけれど、歯磨きや顔を洗ったりとかの毎日の欠かせない習慣、欠かせなくなってしまった習慣とでも言うのだろうか。おそらくそれと同じくらいには「書く」ということが習慣として身についたのか、ここまで書かない、書けないでいるとなんだかむず痒い感じが僕中にある。書かなきゃいけないという強迫観念とはまた違う何か、書くことで思考が整理されている気持ちよさというのもあるだろう。いざ書き始めると頭の中のおしゃべりは止まらない、といういうより止めないようにパソコンのキーボードを打つのに必死だ。
人はなぜ書くのか?なんて変な問いまで浮かんでしまう始末だ。そんな連想ゲームが始まりだし、次からへと何かしらが出てきてしまう。書くことで自分を確かめる、自分の知る。今の僕はどんなカタチをしているのか、動くことで僕の体を確かめる。うん、ここまで動ける。書くことは自分を知るため、過去の自分が何を考えていたのかを知るため、知ってどうする?という疑問も浮かんでくる。そんなことはどうでもいいのかもしれない、とにかくこの頭の中に詰まったゴミ(といってしまったらこの言葉たちに失礼だ)を吐き出すために、吐き出したものを一つづつ眼で見て確かめて、ぼくってこんなやつかと妙に納得するために、頭の中の僕と対話するために、それはそうだ、いやそれは違うんじゃないのか、と言い合いながらバランスを保っていく。
さぁこんなことしてないで記憶を振り絞って(なんて言葉はないかもしれないけど)2週間前にタイムスリップ!
Day131 10月17日(火)
薪土場へ丸太を運ぶのとフィールドスタイル用の薪やベンチの脚にするための丸太を切り出した。
午後はカケラプレートづくりと丸太の皮むき。
まだまだ木の皮はペロッとむけるようだ。
みずみずしい木の肌がキレイだった。
Day132 10月18日(水)
シバケンパイセンの伐木競技会の応援へ行く。
午前中の合わせ切りはヒヤヒヤする結果だった。
午後は受け口、追い口を作る競技、いかに正確に伐倒方向を切り出すかという戦い。途中まで1位という成績を叩き出した。
総合順位は後日わかったのだけれど15人中6番目という成績だった。愛知県6位!
Day133 10月19日(木)
田實さんが道作りを続けるために木を伐倒する。
そして明日は小学生たちが森来て森林林業学習会があるのでその準備。
受け口、追い口を作り、子供たちに木を引っ張って倒してもらうという体験をする。安全のためにチルホールを設置しておく。
Day134 10月24日(火)
土日、仙台でサルサのイベントのために金曜日から移動して仙台入りした。先週はほとんど夜の時間がなくチラシ作成に時間を当てた。幸いまっさらな状態から作るというのではなかったから、文字を打ち直したり、地図なんかを少し作り替える作業だったから良かった。が一週間もない期間で仕上げるということでけっこう焦りもあった。
無事に仙台へ出発前には終わらせてスッキリとした気持ちで出発した。イベントも無事に終わり月曜日の夜に戻ってきた。月曜も月曜でキッコリーズのポスター(?)みたいのを作るためにあれこれと考えていた。結局いい案は思い浮かばなかったのだけれど、火曜日の朝には少し形にできた。
今日は明日明後日とあるサーラコーポレーションの方々がワークショップのいっかんで森の中を見学するということで、木を伐りながらその準備も進めていった。
昼はゲンキーのカツカレー、なかなか旨いんでない?
午後は明日の見学時の時にトラックに積んだ丸太を見せるためにグラップルで丸太を積み込んだ。
Day135 10月25日(水)
午前中は森にて作業。
午後にはサーラグループの方々が見学にやってきた。シバケンパイセンは伐倒して、無事成功して喜んでいた。
そのあと僕が丸太を玉切りしていくというデモンストレーションをした。
見学が終わり、昨日積み込んでおいた丸太をホルツへ運んだ。
帰ってきてから、今日伐った木の先端(うらっぽ)の細い部分からプレゼント用のコースターを作るために輪切りにしていった。
まだまだ皮がツルッとむけるからそれを体験してもらうのも良さそうだなと思い提案してみた。
Day136 10月26日(木)
朝のミーティングで今日の予定を確認。昨日切った輪切りもいい感じだ。田實さんの好みを少しずつ知っていく。
昨日のワークショップで出た話を聞く。「日々の小さな疑問を大事にする」疑問を感じるために様々なものを観察する力というものが必要な気がする。なぜ?これはこうなっているんだろう?なぜ?人はそういうふうにするんだろう?
何か違和感を感じたり、それが何なのかを知ろうとすること、小さな疑問というのは小さな変化にいかに気づけるかということになるのではないだろうか?そんな話を聞いているとドラッカーを思い出す。彼も時代の小さな変化から未来を予測していた。今こういうことが起こっているから、もしかしたらこんなことが起こるかもしれないということを考えていた。占いのようなものではなく、現実をよく観察することで見えてくる変化、知覚することが大事だと言っていた。
ドラッカーの本ではないけれど「知覚力を磨く」という本の中で、知覚力を高めるための方法の一つにこういうのがあった。
知覚の質を高めたければ、まず自分の眼が「何を/いかに見るのか」をコントロールしていくのが、最も効率的だということになります。目覚めている限り、人間の眼には膨大な視覚刺激が飛び込んできます。そこからどんな情報を、どんなふうに受容するか――それを変えていけば、当然、世界の意味付けもいままでとは明らかに違ってくるでしょう。
神田房枝 著「知覚力を磨く‐絵画を観察するように世界を見る方法」
僕らはたくさんの意味付けをしていろんなものを見ている。過去の記憶も現在眼の前にあるパソコンやコーヒーカップ、それをそれだと分かるということはそこに色んな意味を持たせているからだ。過去の記憶も解釈を変えれば良いものになったり、悪いもののままだったり、意味をもたせることで世界を理解している。
知覚を磨く方法は4つあるということだ。
- 知識を増やす
- 他者の知覚を取り入れる
- 知覚の根拠を問う
- 見る/観る方法を変える
モノの見方は価値、価値観の転換にも繋がってくる。
「虫に喰われた材は見た目が悪い」と思ってみるのか「虫にしかだせない唯一無二のデザインで同じものは一つとしてない」と思って加工した木を観るかで随分と世界は違って見えてくる。まずは自分自身にそんな変化を起こすことが始まりで、それを伝えることで確かにそうなのかもしれないと思えるような人達が見つかりだす。自分と同じような価値観を持った人達がファンになり、その人達がまた伝えることで同じものの価値もガラリと変わっていくことになる。
田實さんはそんなことをずっと続けてきたのだ。何事かを何してきた人達というのは世界を違った眼でみることでそこに新しい価値を作り出している。
朝のミーティングの途中で山下製材の山下さんから注文が入り、急遽その材を集めることになった。僕は根っこの部分を林内作業車で拾い集めて土場まで運び出した。
トラックに積み込んで山下さんのところへ出発。タンコロは新城市の新生児のためにプレゼントされる積み木になる。細めの丸太は11月にあるイベント、焼けた炭の上を歩くというテレビか何かでみたことがある。あれのために使われる。
午後はホルツ行きの丸太を積んで、運搬。
Day137 10月27日(金)
今日は伐倒作業。道が狭い場所では(そうでなくても)木の伐倒方向をよく考える必要がある。やっぱり、どうやって集材するのかを考えるところから始まる。結果から逆算して、どうやって作業していくのかを考えていく、そして色んな可能性も考える。どうやったらここの木を出していけるのか?これだと出せないなで終わるんじゃなく、出すためにこうやってこうやったらいいかもしれないと考えていく。
- グラップルで仕事ができるエリアに向かって倒す。作業できるようにその周辺の木を伐っておく必要があるならそうする。
- スギ・ヒノキを伐らなきゃいけないとなった時その場所の上空はどうなるのか?それを塞いでくれるものはあるのか?
- 広葉樹は萌芽更新するということを頭にいれて、大きくなりすぎてめくれてしまいそうだなと思ったら伐っておくという手もある。
- 広葉樹があるなら伐ることができる。なくても作業のために最小限のダメージは仕方ない。
ということで色んな可能性を考えるためには知識を増やすこと、知覚することが必要なようだ。そうすることで色んな可能性の中から最適だと思える解を得られる。
ということで2人で交互に伐っていき午前中で伐倒予定の木は倒し終わった。
お昼は最近ハマっている味噌カツ定食。
午後は伐倒した木を造材・集材して土場へと運んだ。そして、週末に取りに来る予定の杭を仕上げた。
17:30からはキッコリーズ読書会一回目を開催、時間はあっという間に過ぎて僕らはフローしていたはずだ。M・チクセントミハイ著「フロー体験 喜びの現象学」を読み始めた。あと2回で全部を読み終えようということになった。
Day138 10月28日(土)
今日は名古屋で「森林の仕事ガイダンス(林業就業相談会)」があり早起きして会場へ向かった。
10:00には到着して準備を開始。
11:00からスタート、15:00には終了した。キッコリーズブースには15人ほどの人達が話しを聞きに来てくれた。20代~50代と幅広い世代の方々の話を聞きながら、色んな思いを持って参加してくていた。人を雇い入れるというのはすごく難しい。僕は採用する担当でもなんでもないけれど、そういう役割をあてられたとしたらかなり悩むんだろうなと思った。
ただのグループの中に招き入れるというのとはやっぱり違う。お金を払い仕事をしてもらう。お金をもらい仕事をする。仕事をするといっても様々な関わり方もある、社員、バイト、ボランティア。キッコリーズの林業は他の林業会社と一線を画すと思っている。小さい会社だからこそ様々ことをこなさなければいけない、山の中での作業に耐えられる肉体的な強さ、メンタル、安全に作業しあえるような注意力、森を観る観察力、環境のことを考えた林業、そのなかでいかに自分たちが生活していけるだけのお金を生み出すのか、キッコリーズの魅力ある林業をいかに伝えられるか、総合的な能力を求められるのだと思うと、一歩脚を踏み出すのに躊躇してしまいそうになるけれどそこがまた面白いと思ってしまっているのは僕である。
たくさんの能力を使ってキッコリーズがブレイクスルーするのを見てみたいというのが僕が今ワクワクしていることだ。そのために何ができるのかを日々考えること、それを実際に行動に起こしていくという日々に疲れはない。PDCAサイクルをぐるぐる回していく、チェーンソーくらい高速回転できたらいいのだけれど、そこまでの速度はだせないとしても人力で回していけるだけのスピード感を持って回す。
自身の学びを高めながら、そのサイクルの中に組み込みながらうんとこどっこいしょと斜面を登り続けているのだろう。
途中で僕の日誌を読みましたという人も現れ驚いた。キッコリーズについて書いているのは僕ぐらいしかいないだろうし、やってることのほとんどを書いているから、何説明しよ?ってなっていた。途中から人生相談会みたいになっていて面白かった(笑)ほんとにおかしな会社だ。
15:00には終わって、18:00から湯谷温泉街にあるHooHooで行われるスペシャルなイベントに参加させていただいた。
美味しいお酒とお肉割烹に色んな人達との出会いに時間を忘れて気づいたら日付が変わっていた。店主の方がリュックを背負いだし本当に終わりの時間を告げていた。盆栽センターまで送ってくださるということでお言葉に甘えて乗せてもらった。
10月29日(日)
今日は昨日の話の中で愛宕山に登ろうということになっていたので早起きして準備して2人の到着を待った。オーストラリア人の旦那様と僕の妻と同じ名前の奥様、そして僕の3人で盆栽センターの裏にそびえる愛宕山に登った。といっても10分くらいで登れる山だ。その昔そこには井代城あったということだ。現城主は3代目にして新城キッコリーズ代表の田實さんということだ(笑)というのは冗談なのか本当なのか?
出会って間もない彼らと話をしながら登って降りてと小一時間くらい過ごしてそれぞれの予定へと向かった。
僕はそのまま盆栽センターのバイトを開始、まだおばちゃんも来てないけれど、植物に水やりをしたり、掃除をしたりしながら開店準備を進めた。