木こり日誌

新城キッコリーズ Day14 上下作業には要注意

新城キッコリーズ Day14 上下作業には要注意

4月20日(木)晴れ

週末に向かって身体に疲労が蓄積してきたせいなのか、連日の作業でかいた汗が重たいブーツに染み込んでいるのか一段と重量感を増しているようにも感じる。今日もあの斜面を攻略していく。

誰一人同じような人がいないように山や森も同じような場所はないように感じる。新しいことを覚えていくのはすごく刺激的だ。頭がフル回転していてそこで起こっていることをすべて吸収しようとしているし、身体をどんなふうに使ったら楽に上手に動かせるのかと身体も考え出す。

斜面の一番外側の木は残していく、そこに切り払った枝や細い丸太なんかを引っ掛けておいておくためだ。最後には切るけれど、下の道を人が歩くことを考えるとどのくらいの高さで伐るのが良いのかなど、作業の先にはいつも人がいる。もしかしたら、人じゃなく自然や動物や、その他のものの存在のために作業をすることもあるかもしれない。作業のその先をどれだけ想像できるかで今の行動が変わっていく。内側の木はほとんど伐り終えた。

お昼はおからそぼろに昨晩の残りのたけのこの炒め物、疲労回復にはクエン酸たっぷりの梅干し、昨日もらったパンはお腹いっぱいで食べられなかった。昼寝で一瞬深い眠りに落ちてびっくりして目が覚めた。

午後は造材したものを集材していく。丸太に引っ掛けたワイヤーをバックホーのバケットに引っ掛けて引っ張り出して、林内作業車に載せて出していく。

林業において上下で作業をすることは避けなければならないことの一つだ。斜面の上で誰かが作業している時、その下で作業していると丸太が転がってきたり、伐り倒した木が倒れてきたり、何かが転がり落ちてくる危険がある。基本的には丸太の下側にまわって作業したりすることは避けたほうがいい。けれどもそれも状況によってはかわることもある。ワイヤーで吊った丸太の片側が地面について安定している状態で、一部残った枝を払う時、下に入らないことばかり意識して無理な姿勢でチェーンソーを使うことで刃が自分の脚に向かっていることに気づかず切ることがあるかもしれない。言葉でかいても伝わりづらいけれど、どうやったら安全な作業ができるのか、どっちがリスクがないのか、まぁリスクが少ないからそっちを選ぶというのも変だから、やっぱり安全なやり方はどれか、という方が正しいのかもしれない。

と言っても想像はできるけれど、どこまでが安全でどこまでが危険なのかというのは数々の作業をこなしていくことで自分に蓄積されていくものなんじゃないかと思う。それでもちょっとの危険が命取りになるのだから、そんなこと言ってられない。作業においては思いつく限りのリスクを回避することの方が優先される。

作業中に田實さんがこのバックホー1台あれば小さな林業はできるよと教えてくれた。中古だったら200万とかで買えるから、それと2人いれば、今やってるみたいに小さな道をつけて木を運び出してってことができると。そう考えるとハードルはそれほど高くなさそうに思える。大きな機械を1台買うよりだったら、もう1台小さなものを買ってやっていくほうが山にも負担をかけないし、会社を経営していく上でも効率がよいかもしれない。大型機械は作業時間の短縮はしてくれるが、その分お金がかかる。時は金なり、金を払えば時間は買うことができる。でもそれは良いことばかりではない、大きな機械が通るためには大きな道が必要になって必要以上に山を削り取る必要がある。そうすると崩れる危険もあって、もしかしたらそこを利用する人に危険が及ぶかもしれないし、土が川に流れ出して川の生物にダメージを与えるかもしれない、最終的には川の生物を利用していた人間にも被害が及ぶ。

上流から下流、それだけに限らず自分達の行いが良いか悪いかは分からないけれど形を替えて、再び自分達の元へと返ってくる。物質が循環するように人間の行いも循環しているんだなと思える。最終的には自分達の行いの責任は何かを通過しながら、自分達もしくは他の人間に返ってくるという視点はいつも持ち続ける必要がある。

半分くらいの位置まで道はついたのだろうか?明日は井代の森を案内するというイベントがあるので作業は来週に持ち越し。

盆栽ベースに戻ってチェーンソーの手入れを済ませる。

その後は盆栽センターでコーヒーを頂いて飲んでいたら、盆栽センターのおばちゃんが「まかないのカレー食べる?」とマグロのカツ カレーも出してくれた。子供のように腹をすかしているのでペロッと食べてしまった。晩御飯は21:00からだからおやつだなこれは。

そのあとはゆ~ゆ~アリーナへ。年会員になるべくお金を握りしめ向かった。週一回、火曜日が定休日だとすると年間で約300日ほどは営業していることになる。年会費26,180円、一回の入浴料はなんと90円ほどになる。え!?安くない?僕らがお風呂に入ることでキッコリーズが持ってきた丸太が利用される。

日本全国で何かのために植えられた木は利用されずに山を覆うだけになってしまっていて、様々な問題となっている。もちろん材として利用価値があるものもある。しかし、それもちゃんと手入れができてこそで、ほとんどが放置されてしまっている。価値がなかったものが誰かに何かに使われることで価値は生まれる。山にあるだけでももちろん価値はあるだろうけれど、人間が手をかけてしまったものは人間が手入れを怠ることで問題となってくる。

理想的な環境とはどんなんなんだろうな?それは人間にとって?他の生物にとって?この地球にとって?そこに生きるものすべてにとっての理想的な環境とは?どこから考える。すべては影響しあっていることを考えるとなるとやっぱり自分の身近な場所からなんだろうな。

肉体疲労時の栄養補給に温泉成分を補充して帰宅する。

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Kazuki

サルサLOVER→農業研修生→木こり見習い
赤石家のカズ
2022年3月から農業の研修を開始!
2023年4月木こり見習いになる。
福津農園での農業研修を終え次なる目的地へと旅立つ
実践の記録と日々感じたことや何かを綴る日誌。

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