木こり日誌

新城キッコリーズ Day20 安全衛生教育と林業界、真のエリートとは

新城キッコリーズ Day20 安全衛生教育と林業界、真のエリートとは

4月28日(金)晴れ

今日は林業センターにて研修。愛知県の大村知事も来て「あいち林業技術強化カレッジ」の開講のセレモニーが開かれた。

http://www.higashiaichi.co.jp/news/detail/11380

今回の研修は労働安全衛生についての研修だった。林業は全職業の中で一番死亡人数が多い、そのために労災保険の掛け金も高くなっていて、現場で働く人達の給料にも影響してくる。法律で決められた装備やなんかがある。チェーンソーによる切創防止用のパンツや、防音のためのイヤマフ、ヘルメット他、色々とあるけれどそういうものを使用せずに起こる怪我やなんかも多い。

やってはいけない伐採方法による死亡事故なんかも多い。それでも注意不足や予測不足、仲間とのコミュニケーション不足などによっても死亡事故が起こる。

慣れというものは僕らの生活習慣の中で歓迎すべきものでもある。そうでないとあれこれ考えすぎて動けなくなってしまう。一歩足を出して進むのにも「この道は安全か、足に刺さるものはないか、この筋肉をこうやって動かして、次はここ、着地はこんな感じで…」と最初は色んなことを考えていたのか?もしかして、考えずんに痛い思い、不快な思いをしながら、身体が勝手に覚えていったのかもしれないけれど、どんなことにも人は慣れていく。慣れなければ、心が壊れたり、身体が壊れたりする。

慣れて、動作が無意識になった時が危ない。前にしていたトラックのライン作業でも慣れてきたころにミスが頻発する。無意識に手が動いてしまって、今何やってたんだ?となる。最初は追われ続けていた作業、時間が来るまでラインは止まることを知らず、あんなに慌ただしいと思っていた流れ作業の中で作業していても眠くなってくる。慣れとは怖いものだ。そこで人は再び意識することを思い出す。そうやって、ミスをリカバリーしながら作業していくと、ちょっとした違和感に気づくようにもなってくる。

ただ林業の場合はちょっとミスが命とりになることも少なくないからそんなこと言ってられない。けれども慣れというのはどこにでもやってくる。

と林業界の負の側面をたくさん教えてくれる研修だった。それだけ改善できる点があるということで、そこさえクリアしていけば林業の世界も明るいかもしれない。というか農業しかり、林業しかり、本当は僕らの生活には欠かせないものであるはずなのに光があたらない。もう問題は起きているけれど、これからさらに増えていくんだろうなと予想する。

午後の研修で見学した少花粉やエリート杉やエリートヒノキやなんかも、問題の種だろうなと思った。エリートツリーと呼ばれていて、普通の木よりも成長速度が早い、早く収穫できる。という利点しかない。作り方はどうあれ、早く成長するということは年輪でいうところの白い部分の幅が大きくなる。そしてそこは柔らかいのだ。今の時期木がたくさんの水を吸い上げ、それを利用して白くて柔らかい部分を成長させる。だから早く成長するということは柔らかい部分が多くなるということだ。

木は大きく背が高くなる。その分根っこもそれに負けないようにしっかりとはる。木は動けないから、自分の体を守るすべを備えているはずで、風や雨や雪の影響を受けてもちょっとやそっとでは折れないように自分を成長させているはず。もしかしたら今年はいっぱい成長しなきゃな、いや今年はこんぐらいで良いか、とか思ってコントロールしているかもしれない。そこに横槍を入れるのが人間で、自分たちが早く木を利用したい(いまでも上手く利用できていないとおもうのだけれど、そんなに早く育つ木を植えてどうするのだろう…)という欲求なのか探究心なのかいらないことをする。

田實さんが言っていた。エリートツリーは自然界では落ちこぼれだ。たしかにそうだ。守ってやらなきゃいけないのは他の苗木と同じかもしれないけれど、その場の環境で芽を出せるということはある程度の強さをもっている。そして成長していけるものが生き残って再びその子孫を残せる。残っている者たちこそがエリートツリーなのではないか?

人間が作った「エリートツリー」はきっと将来、強い台風や、大雪なんかでバキバキに折れてしまってせっかく植えたのに使えないじゃないか(涙)となる気がする。バキバキに折れたものが今度は森の中に残されて、倒れる危険という負の遺産を更に増やしてしまうんじゃないだろうか。

人間のためだけを考えていくと結局は人間になんらかのしっぺ返しが返ってくる。というのは宇宙の法則か。

職員さん達は一生懸命仕事をしているけれど、そういうことは考えないのだろうか?考えてしまったら仕事にならないか。というところで、最後はハーベスターという大型機械のシュミレーターを体験して今日の研修を終えた。

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Kazuki

サルサLOVER→農業研修生→木こり見習い
赤石家のカズ
2022年3月から農業の研修を開始!
2023年4月木こり見習いになる。
福津農園での農業研修を終え次なる目的地へと旅立つ
実践の記録と日々感じたことや何かを綴る日誌。

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