2月16日(木)晴れ
目覚ましが鳴っていると思って目を開けようと思っても目が開かない…自分の目はどうなってしまったんだ!?と目覚めたばかりの自分は混乱しそうになる。目に手をやるとどうやら目ヤニで上まぶたと下まぶたがくっついてしまっているようだ。やっぱり昨日のダブルホコリパンチが効きすぎている。寝ている間に異物を体の外に排出しようと思って身体が頑張った証拠だ。お陰で目は全然痛くない。
日誌を書かないと思ってパソコンを開いていてみるとバッテリー残量ゼロ。諦めて本を読むことにした。(これを書いているのは色々あって19日)
プリズン・サークルと目ヤニの話が重なる。人はだれかかに癒やしてもらうことができないように誰かを癒やすことはできない。できないけれどその支えや力になることはできるのだと思う。目薬は目の痛みを和らげることはできる。何かの傷に塗る薬も痛みを和らげたり、傷口の炎症を抑えたりすることはできる。そのどれもがその人自身に備わっている自己治癒力を助けるためにある。痛みや傷は自分の中にある力、簡単に言ってしまえば自分自身で治すことしかできない。
父親が手術をしたときを思い返してみるとやはりそうなんだと思う。手術で癌をとって傷口を縫って塞ぐ。ごく当たり前に行われるそんな手術でさえも縫ったからといってくっつくわけではない。そこにはその人の身体が傷口を閉じようとする力が必要なんだ。その力が残っていなければいつまでも切られた傷口はつながらず塞がらない。父親にはもう傷口をくっつけるための力が残っていなかった。
心も一緒だ。傷ついた心もほかのだれかは治すことはできない。最後は自分自身の持っている癒やす力で傷ついた傷口を元通りするしかない。いやむしろ傷口というのは周りの傷がなかった場所よりも皮膚が厚くなって強くなる。プリズン・サークルを読んでいると他人の過去や現在の語りを聞くこと、そして自分自身の過去や現在の思いを語ることで自分を傷つけてきたものに気づいていく受刑者の変化が見える。
子供のころの色んな体験から隠してしまった感情や表現したかった感情を違う形で表現してしまったことが見えてくる。あの時の自分、今の自分の感情に向き合いながらトレーニングを通してエモーショナルリテラシーを高めていく、自分の感情を言葉で上手く伝える方法を身に付けていくことで再犯率を減らしていく。哀しい、寂しい、愛されたい、それを上手く伝えられなくてそんな自分に苛立つことがある。伝えられなくて今度は相手に苛立ってしまったりすることもある。そんな感情を隠すかのように怒りや憎しみがあったりするのかもしれない。本当は哀しい思いにや寂しい思いをしていることに気づいて欲しい、ただ優しくして欲しいと思っていただけなのにそれを受け止めてもらえない、だれかにそれを受け止めてもらえたならどんなに良かったのだろうか。
それができるのは親であり、身近にいる大人なのだと思う。
そういう場所や人がいたなら、傷を治すなんてことも必要なかったのかもしれない。それでも人はいつかどこかで傷つく、傷を負わずに一生を終えることなんてできないのだと思う。そんな時にはゆっくり休んで、だれにも傷つけられることのない傷を癒やすことができる場所が必要だ。何を語ることも許されて、語りを受けてもらえるそんな場所が。
そんなことを考えたのは書いている今この瞬間なのだけれど、読み進めているプリズン・サークルから多大な影響を受けている。本を読み終わったらいつものように朝ごはんを食べて鶏のお世話へ行く。
薹が立ち初めて皮や実が筋っぽくなってきたカブも鶏たちなら跡形もなく食べてしまう。
緑餌をやり終えてもどる途中にいつも畑の様子を遠目に眺めている。今日は近づいて畑の様子を見てみた。白菜の頭が少し膨らんでいるものがある。大きな葉っぱで光合成を十分にして、中では芽が立ち上がりはじめ、種をこぼすために徐々に外に出る準備を始めている。
さらに栄養を種に集めるべく、先輩はこんな感じで素敵な葉っぱのドレスを身にまとっている。
ブロッコリーも十分な大きさになった。ちょくちょく食卓に出てくるけれどこうして作られたブロッコリーは嫌な匂いもしないし、とてつもなく甘いのだ。
様子観察が終わったら柿の木の苔を落とす作業をする。苔の裏に虫が住み着いたりすることもあるのでたまにはお掃除が必要らしい。
苔を落とした柿の木。
何本かやってそのあとはフキノトウを収穫していく。農園のいたるところでたくさん芽を出していた。フキノトウの外葉の一部なのか全部なのかは分かっていないけれど、いわゆるフキになっていくらしい。
午前中では採りきれず、一旦お昼休憩。
午後も再びフキノトウの収穫から。
午前中もビク一つ分、午後もビク一つ分のフキノトウが採れた。
そのあとは、正月菜、カブ、大根を収穫していく。
こちらも素敵なプリンセスダイコンが葉っぱを束ねた素敵なドレス姿で踊っていた。
収穫を終えて袋詰に入っていくとその後は寝るまで一気に時間を駆け抜けていった。