百姓日誌

福津農園 Day8 松沢さんのミニ講演会 持続可能な農業とは?

福津農園 Day8 松沢さんのミニ講演会 持続可能な農業とは?

3月13日(日)晴れ

朝の食事のときにニワトリの卵の話になり、暖かくなってきて産卵率があがってきてるためか、殻が薄くなってきている。魚粉も多いからかな?ということで、魚粉を減らすから緑餌の量を増やしてということでイタリアンライグラスをいつもよりコンテナ一つ分多めに刈り取る。

鶏のお世話が終わったあとは、ジャガイモの植え付け。前回植えた家の裏の丘の上の畑の保険として家の前の畑にも植え付ける。

去年、菊芋を植えてあった場所らしく収穫しきれていなかった菊芋の残りを収穫しつつジャガイモを植え付ける穴を掘っていく。菊芋は一度植えるとどんどん増えていくらしい。残っているとまた芽を出して育って、花が咲いて種を落としてまた芽を出す。というサイクルを繰り返して一面菊芋だらけになってしまう。ということで、ジャガイモを植えるところだけはしっかり掘り出していった。

終わったあとはジャガイモの上と隣のアスパラガスが芽を出すらしい草の上に鶏糞をまいていく。

下の写真は菊芋の芽が伸びて、それをハンマーナイフモアで刈り倒したあとの残骸。なかなか太めの幹になるらしく、枯れるとスポンジのような発泡スチロールのような感じなっていた。

ニワトリはお腹がいっぱいになったのか、暖かくなったのか、土浴びをしていた。覗きにいったら「何見てんのよ!」と言わんばかりに離れていった。

お昼ごはんのあとは政満さんのミニ講演会が始まり、皆で聞き入る。野菜というものにどういう価値をもたせるのか?という話が印象に残った。お金に変わるものとして野菜を育てる「交換価値」として扱うのか、それとも自分たち、子供たちの健康を作る大切なものとしての「使用価値」を大切にしていくのか、作物をどのようにして見るかという視点をかえるだけ自分はどういう農業をしていきたいのかという答えが見えてくる。

さらに、作物を作るときに投入するコストの話が続く。一般的な農家は収入のうち70%がコストで30%が利益らしく、福津農園ではそれが逆でコストが30%、利益は70%だという。コストがほとんど掛かっていない。そして、福津農園の収入に占める割合で多いのは卵の売上とのことで、そのコストのほとんどはニワトリの餌代で、作物を作るためのコストはほとんど掛かってない。

作物を作ってないんじゃないか?と思われるかもしれないが、そうではなく、不耕起栽培という方法をとっているから、買ってきて投入する肥料もいらないし、草を抑えるために買わなければいけないビニールマルチも必要としない、虫に食べられないようにとかけるビニールトンネルも使わない。じゃあどうやって野菜を育てるんだ!なんて言われてしまうかもしれないし、なかなか理解されにく農法が不耕起栽培というものだ。

政満さんいわく一般的な農業は「排除の論理」でなりたっている。虫も草も、排除するために除草剤、殺虫剤を使用することで土中の微生物もいなくなる、さらにはそれらを餌とする天敵である虫や鳥など他の生物もいなくなる。というか寄り付かなくなる。結局は不毛の土地に最後は人も寄り付かなくなっていく、農業から人が離れていく、離れていくから大規模に生産しなければ皆が食べるためのものが作れない。そのためには、肥料をやってなるべく虫に食べられないようにと消毒やら殺菌やらをしていく、土が痩せていく、肥料が必要になる...どんどん負のスパイラルにはまっていき、持続可能な社会から遠ざかっていく。

不耕起栽培では草を育て、草の根が地中に伸びていくこと、そしてその草が枯れることで土の中に空洞ができてそこに水や空気が流れこむ。草は地中から地表に水を運ぶ作用もある、だから草が生えているところは土が乾くということもない。土はいつも適度な湿度を保っている。草が生えていることで虫がよってくるし、その虫を食べる虫もやってくる。その虫たちはそこにある草を食べて、残って朽ちていく草は土の中の微生物やミミズなどが分解して自分たちが「土」と呼ぶものなっていく。そして土は豊かになっていきそこで育つ野菜はほとんど肥料を必要としない。

大事な問として「不耕起で持続可能な農業をやっていくにはどうしたらよいのか?」ということを話していた。政満さんは「外部生産」をどれだけ増やせる農業をしていけるのかということに焦点をあてている。お米を作ることを例に考えると、ただ売るためにお米を作るのではなく、それを育てることで田んぼに昆虫がすみ、秋になるとトンボが飛び、ホタルが飛び交う、彼らが住める環境をつくる。子供たちは昆虫やカエル、野に咲く花、そこに漂う匂いや感触に触れられる環境があることで自然の中から何か大切なことを肌で感じることができる。

と終わることなく話は続く。この日誌の中ではまた少しずつ政満さんの農業、生き方、哲学に触れていく。ということで、午後の作業の開始もとっくに過ぎていたけれど、午前中に斜面から引っ張り上げておいた栗の木を、温床用のチップにする置き場と、きのこ用のホダ木置き場とに分けて運ぶ。

それと明日はまた味噌を仕込む。たえこさんが自分たち用に作って持っていけばいいよと言ってくれたので、味噌を仕込むためのかめを買っておいた。その準備のために大豆を量って、洗って、明日の午前中まで水に浸けておく。

最後の作業は近くの山に行って、きのこ用のホダ木を切り出した。

政満さんが切り出した木を少しの山道を通って軽トラまで運んでいく。

林の中には50種類くらいの木が生えているらしく、数種類しかないように見えていた自分の目は何なのか。木の図鑑でも買って覚えていくしかない。木にはそれぞれに性質や育った環境で年輪が詰まったものなんかがあって、畑に棚を作るときに適した腐らなくて丈夫なもの、薪にしたらよく燃えるものなど、木はその性質と工夫次第で上手に使えば色んなことに使える。

そんな生きるための知恵を少しずつ吸収しながら農園生活は続いていく。

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Kazuki

サルサLOVER→農業研修生→木こり見習い
赤石家のカズ
2022年3月から農業の研修を開始!
2023年4月木こり見習いになる。
福津農園での農業研修を終え次なる目的地へと旅立つ
実践の記録と日々感じたことや何かを綴る日誌。

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